商品説明
北海道高山植生誌
佐藤 謙 著
定価:22,000円(本体価格20,000円+税)
判型:B5 上製
頁数:708
ISBN:978-4-8329-8173-7
Cコード:C3045
発行日:2007-02-25
●本書の特徴
①全道をくまなく調査した北海道高山植生の第一人者による,35年にわたる研究の集大成
②北海道の高山植生を網羅的に概観できるモノグラフ
③植物相と植生に関する基礎資料は筆者自身のものに限り,同時に,既存研究を網羅的に引用し、山系・地域ごとの自然概況をとりまとめた
④北海道の高山植生の成立について、植物相と植生の両者を植物地理学的に分析する手法によって、地史的背景と生態的特性の両面から総合的に考察
⑤生物の絶滅が世界的な問題とされる現在,北海道希少植物の大半を含む高山植生の実態を明らかにすることは,希少植物保護の基礎資料としてもきわめて重要
⑥植物群落とその立地ならびに群落構成種に関する、著者自身の撮影による400枚を超える植生写真をカラーで132頁にわたって収録。学術的に貴重であるばかりではなく,研究書を超えて花と山の美しさを楽しむことができる
●目次
はじめに
〔第1部 生態写真〕
大雪山系
知床山系
日高山系
夕張山系
阿寒山系
利尻岳
日本海側多雪山地
支笏洞爺の山地
北見・天塩山地
ハイマツ低木林を欠く山地
礼文島
アポイ岳・幌満岳
低標高の蛇紋岩地
崕山
大平山
安山岩質集塊岩地
その他の岩隙・岩礫地
火山荒原
硫気孔原
海岸風衝地
〔第2部 総論〕
第1章 本書の目的
1.植物相と植生の両者を扱う植物生態地理学
2.北海道高山植生に関する植物生態地理学的研究
3.生物多様性
第2章 高山植物と高山植生に関する概説
1.高山植物
2.高山植生
第3章 北海道の高山植物相に関する植物地理学
1.はじめに
2.北海道の高山植物相
3.主要4山系とそれらの地域区分における高山植物相の分布型組成
第4章 分布上重要な種とその植物地理学的意味
1.キリギシソウの新記載
2.コヌマスゲの日本新産報告
3.北海道新産として報告した高山植物
〔第3部 各論〕
第1章 高山植生
1.大雪山系
2.知床山系
3.日高山系
4.夕張山系
第2章 主要4山系以外の北海道の高山植生
5.阿寒山系と斜里岳
6.利尻岳
7.日本海側多雪山地:狩場山、ニセコ山系、積丹山系および暑寒別岳
8.支笏洞爺の山地:羊蹄山、余市岳、無意根山、徳舜瞥山・ホロホロ山およびオロフレ山
9.北見・天塩山地:ポロヌプリ山、ウェンシリ岳、天塩岳、ピッシリ山、函岳およびピアシリ山
10.ハイマツ低木林を欠く山岳:大千軒岳、ピンネシリ、風不死岳および西別岳
第3章 低標高の特殊な立地に成立する高山性植物群落
11.礼文島
12.超塩基性岩地(1):アポイ山塊と幌満岳
13.超塩基性岩地(2):天塩・中川地域、幌加内・和寒地域および日高・胆振北部地域
14.石灰岩地(1):崕山
15.石灰岩地(2):大平山
16.安山岩質集塊岩地:定山渓天狗岳、札幌神威岳、ニセコ山系熊野山および知床山系羅臼岳オホーツク展望
17.その他の地質からなる露岩地:手稲山と観音岩山
18.火山荒原:渡島大島、駒ケ岳、樽前山および十勝岳中腹
19.硫気孔原:恵山、ニセコ山系五色温泉および羅臼岳泊場
20.海岸風衝地:知床岬、大樹町晩成および襟裳岬
21.風穴地の植生
〔第4部 考察と結論〕
第1章 高山植物の分布に関する研究アプローチ
1.植物相と植生の研究
2.高山植物相研究
3.高山植生研究
4.植物生態地理学的研究
第2章 高山植物相の分布型組成分析
1.高山植物種の分布
2.日本における北海道の高山植物相の位置づけ
3.分布型カテゴリーについて
4.北海道主要4山系とそれらの地域区分における高山植物相の分布型組成
第3章 主要4山系における高山植生、立地環境および分布型組成
1.高山植物群落の認識方法とその結果
2.高山植物群落の立地環境
3.主要4山系における山系・地域区分ごとの植物群落総出現種による分布型組成
4.主要4山系における高山植物群落の分布型組成
第4章 主要4山系以外の山系・山岳における高山植生、立地環境および分布型組成
1.主要4山系以外の山系・山岳における高山植物群落
2.主要4山系以外の山系・山岳における植物群落総出現種による分布型組成
3.森林限界を超えた山系・山岳における高山植物群落の分布型組成
4.森林限界に達しない山系・山岳における高山性植物群落の分布型組成
第5章 高山植物群落に特有な分布型組成
1.日本における高山植物群落の分布型組成 / 植
2.生変遷史を中心とした地史的背景
3.高山植物群落の成立(1):高山植物の分布型と地史的背景の照合
4.高山植物群落の成立(2):主要4山系における高山植物群落と地史的背景の照合
5.高山植物群落の成立(3):主要4山系以外の高山植物群落と地史的背景の照合
第6章 結語
引用文献
おわりに
和名索引
学名索引
●著者紹介
佐藤 謙(さとう れん)
1948年 岩手県奥州市(旧江刺市)に生まれる
1973年 北海道大学大学院農学研究科農業生物学専攻修士課程修了
現在:北海学園大学教授・北海道自然保護協会会長
博士(学術)
専門:高山植生の生態学・植物相の分類地理学・植物を中心とした自然保護
論文:アポイ岳と幌満岳の超塩基性岩植生(2005,日本生態学会誌,55巻) など
著書(分担執筆):
『日本植生誌北海道』(1988,宮脇昭編,至文堂)
『日本の自然公園』(1989,環境庁自然保護局監修,講談社)
『札幌の山々』(1989,札幌市教育委員会編,北海道新聞社)
『無人島は語るー自然生態観察』(1990,林知巳夫編,共立出版)
『札幌の植物一目録と分布表』(1992,原松次編,北海道大学図書刊行会)
『大雪山のナキウサギ裁判』(1997,大雪山のナキウサギ裁判を支援する会編,緑風出版)
『Gebirgeder Erde(世界の高山)』(2004, Burga, C. A., Kloetzli, F. & Grabher, G. eds., Verlag Eugen Ulmer, Germany)
『知床の植物』(2005,斜里町立知床博物館編,北海道新聞社)
など
(本書刊行時の情報です)