商品説明
北海道の自然史 ― 氷期の森林を旅する
小野有五・五十嵐八枝子 著
定価:2,640円(本体価格2,400円+税)
判型:A5 ソフトカバー
頁数:238
ISBN:978-4-8329-9341-9
Cコード:C3045
発行日:1991-10-10
●本書の特徴
最近の10万年間には,氷河の拡大,海面の変動,植生の変化,動物群の移動など,さまざまなできごとが起こった.本書では,日高山脈のカール地形や大雪山の土の中に残された永久凍土=「寒さの化石」,さらに花粉化石を手がかりとして,現在の北海道の成り立ちを解き明かしてゆく.
●目次
まえがき
第1章 自然史への招待:札幌をフィールドにして
1.1 メムとエルムの街
1.2 石狩川と泥炭
第2章 自然史をとく鍵
2.1 地形を歩く・地層を見る
2.2 時間の目盛と火山灰
第3章 花粉の語るもの
3.1 空中の花粉
3.2 花粉のかたち
3.3 生き証人としての花粉
第4章 第四紀とはどんな時代か
4.1 地球の歴史からみた第四紀
4.2 人類の時代
4.3 氷河の時代
第5章 第四紀を区分する
5.1 氷期の区分
5.2 深海底コアに残された記録
5.3 新たな謎
第6章 北海道の森林
6.1 世界の植生帯のなかでの位置づけ
6.2 針広混交林
6.3 北限のブナ林
6.4 亜高山帯の針葉樹林
第7章 タイガと永久凍土
7.1 東シベリアのタイガ
7.2 永久凍土がタイガを支える
7.3 タイガの変遷
第8章 氷期の永久凍土
8.1 凍土と凍土
8.2 季節的凍土と永久凍土
8.3 大雪山の永久凍土
8.4 氷期の永久凍土
第9章 氷期の森林を復元する
9.1 サハリンのグイマツ林
9.2 最寒冷期の森林:ツンドラはあったか
9.3 亜間氷期の森林
9.4 晩氷期の気候変化:きびしい寒さのぶり返し
第10章 雪と陸橋
10.1 ナキウサギのきた道
10.2 陸橋をこえてきた生きものたち
10.3 氷期に降る雪
第11章 完新世の森林と気候の変化
11.1 カバノキとクルミの森
11.2 縄文海進とヒプシサーマル
11.3 ブナ林の北上:津軽海峡をわたったブナ
11.4 針広混交林の成立
図表・出典一覧
参考図書
あとがき
索引
●著者紹介
小野 有五(おの ゆうご)
1948年生
東京教育大学大学院理学研究科博士課程修了
北海道大学大学院地球環境科学研究科教授 理学博士
主な著書:『地形学辞典』(共編著,二宮書店),『周氷河環境』(訳,古今書院),『世界土壌生態図鑑』(共訳,古今書院),『現代の地球科学』(共著,朝倉書店),『神々のみた氷河期への旅:空からみる北アルプス自然誌』(丸善),『自然をみつける物語1~4』(岩波書店),『世界の地形』(共著,東京大学出版会),『北海道森と川からの伝言』(北海道新聞社) など
五十嵐 八枝子(いがらし やえこ)
1932年生
北海道大学理学部卒業
アースサイエンス株式会社技術顧問,理学博士
主な著書 『続北海道5万年史』(共著,郷土と科学編集委員会),『北海道創世紀』(共著,北海道新聞社),『北海道・森と木の文化』(共著,札幌学院大学生活協同組合) など
(第6刷〈1997-10-10〉発行時の情報です)