商品説明
北の科学者群像 ー [理学モノグラフ]1947−1950
杉山滋郎 著
定価:1,980円(本体価格1,800円+税)
判型:四六 並製
頁数:240
ISBN:978-4-8329-7381-7
Cコード:C1040
発行日:2005-06-25
●本書の特徴
戦後復興期、札幌から全国に発信された、一般市民と科学者を繋ぐ「科学コミュニケーション」の先駆<理学モノグラフ>シリーズ。温故知新、そこに執筆した科学者たちの生き生きとした人間像を通して、現代の科学者の役割を問いかける。
●目次
プロローグ
1 小熊 捍
無類の動植物好き
「千里眼事件」
科学的に考えることの大切さ
「理学モノグラフ」誕生の触媒として
絵画にオペラ
そして建築も
芸術がとりもつ縁
小熊のネットワーク
2 牧野佐二郎
戦争中ではあっても
双子に生まれて
染色体をきわめる
雑誌『生物』を編集
3 堀 健夫
身に沁みた原爆
アインシュタインに理想をみる
壺中の天地
壺中から天地の隅々まで知る
数学に惑わされないよう
低温研と中谷宇吉郎
防霧林の研究
低温研の所長として
4 今堀克巳
今堀と堀
音を見る
趣味が高じて
戦時への反省
してやられた!
サイバネティックスに注目
ローマ字
早すぎた死
5 山田幸男
『コンブ』
北海道帝大へ
研究のための組織
学問は産業に役立たねば
6 太秦康光
処女水
こつこつと、徹底的に
英語の辞書も
『イリノイ記』
馬術部の部長
北海道化学協会
函館高専へ
明治への郷愁
7 高山坦三
『呪われた血液』
戦争中、ろうそくの光で
医道
札幌医科大学へ
江戸趣味の通人
8 内田 亨
ミツバチは色がわかるか
動物学者として
随筆家として
ウチダザリガニ
疋田豊彦
「動物系統分類学」
9 桑原萬壽太郎
ミツバチの謎
本との出会い
九州大学へ
理科教育への苦言
音楽を愛して
10 安田守雄
酸素の負債
体育研究所の技師として
脂質化学の研究
医学部長として
実践女子大学へ
スポーツマン、安田
11 守屋美賀雄
地図帳の出版社、帝国書院
守屋美賀雄
数学史のなかの「無限」
教育者として
イールズ事件
カトリック信者 守屋の反論
原則を崩すことの危険性
学長として
「坊ちゃん」のように生きる
12 菟原逸朗
台湾の高校教師として
触媒研究所へ
『化学とゆうもの』
神戸大学へ
堀内との対立
俳人として
13 吉田順五
熱輻射
低温研へ
積雪の研究
異分野の交流をめざす
ひとがら
14 芳賀 忞
染色体と遺伝
エンレイソウを研究
エンレイソウの歴史
九州へ
15 高杉直幹
『食物の行方』
智慾漢
レコード餠
16 竹脇 潔
カイコの化性を決めるもの
ホルモンに類するもの
ホルモン学の第一人者
並体結合
タケワキクモヤドリ
17 森 主一
道楽を本職に
『動物の週期活動』
一生懸命に戦争する
生態学の研究
生態学と社会
大学の民主化を求めて
手ごわい論客学長
バカの実験
ネバリ抜きたい
18 穂刈四三二
若き俊才たち
テンゾル学会
助手を辞めて学生に
『空間の全貌』
新制大学と北大の数学科
数学教育への献身
19 沼野井春雄
生体とカルシウム
高校の教師として
性教育
論理に基づく釣り
20 丘 英通
ヌートリア
帰化動物を救荒動物に
北海道に来るはずが
エスペランティスト
生体論
キリンの斑模様をめぐる論争
生物学一家の一人として
21 高島春雄
巨獣渡来考
山階鳥類研究所
動物分類学会
動物愛好家たちとの架け橋
22 花岡謹一郎
『雌雄性とその転換』
生命の泉の甘露に酔う
内分泌研究所
23 本城市次郎
生物にみられる「趨性」
調和をめざして
公選で教授に推薦される
放射線生物学
紛争中に総長代行
エピローグ
地崎宇三郎
北方出版社
書物への飢えと簇出する出版社
科学ブーム
北海道の強み
幻の「 理学モノグラフ」も
多様な出版物
学術雑誌の刊行
池田秀男
北方出版社の最期
あとがき
参考文献
写真・図版出典
●著者紹介
杉山 滋郎(すぎやま しげお)
1950年生まれ
1981年 東京大学大学院理学系研究科科学史・科学基礎論課程単位取得退学
1993年 博士(学術)(東京工業大学)取得
筑波大学講師、北海道大学助教授を経て、1995年より同大学教授
著訳書に『日本の近代科学史』(朝倉書店,1994年)、『物理学者たちの20世紀』〈共訳〉(朝日新聞社,2004年)など
(本書刊行時の情報です)