商品説明
前野紀一著
判型: 四六 並製
頁数: 260
ISBN: 978-4-8329-7371-8
Cコード: C1042
発行日: 2004-11-25
●本書の特徴
雪の結晶はなぜ六花? 氷はなぜ水に浮かぶ? 氷河が青くみえるのはなぜ? 身近にあって暮らしに深く関わっている氷と雪。意外と知られていないその素顔を、物理・化学的性質を結晶構造からオリンピックの氷、土星の輪まで、最新のデータを加え、多彩な角度から紹介します。
●目次
新版まえがき
まえがき
第1章 氷と人間
夏の氷 / 氷=冰 / 冬の雪氷 / 雪氷と人間
第2章 水の循環と雪氷
万物の根元は水である / 水の循環 / 水循環は太陽エネルギーを運ぶ / 地球上の雪氷の
量 / 雪氷の白さ
第3章 氷結晶の構造と性質
水を知る
水の化学組成 / 水分子の形 / 水の状態図 / 沸点上昇と融点降下 / かくれた熱——潜熱 /
氷も蒸発する——昇華蒸発
氷の結晶構造
クリスタルとガラス / クリスタルの原義は氷 / 氷は六方結晶か / X線による構造決定 /
氷の結晶構造 / 氷はなぜ水より軽いか / 単結晶の氷 / 蒸発ピットの方法 / ティンダル
の氷の花 / 透明な氷——札幌オリンピックと長野オリンピックの氷 / 氷の成長と異物
排除 / 色のついた透明な氷
氷の弾性と塑性
はずむ氷 / 流れる氷 / 単結晶氷の塑性変形 / 底面滑りのメカニズム——転位 / 応力・
ひずみ曲線 / 氷の転位の直接観察 / 多結晶氷と粘弾性 / 多結晶氷の定常クリープ
第4章 無秩序な氷結晶
水素原子の配列
こわれにくい水分子——共有結合 / 水分子間の水素結合 / プロトンの配置とバナール
=ファウラーの規則 / 氷の統計模型 / 無秩序の凍結 / プロトンの配置 / 理想的な結晶
性氷
氷はプロトン半導体
氷の電気測定のパイオニア / 氷は半導体 / 氷はなぜ透明か,雪はなぜ白いか / 青い氷 /
氷の電気分解とイオン欠陥 / 氷の誘電分極 / 水分子は永久双極子 / 水分子の回転のメ
カニズム——配向欠陥
氷の本性
スイス学派の統一理論 / 氷の本性
第5章 氷の表面と物性
氷の温度と表面
あつがりな氷 / 氷の表面は疑似液体 / 氷はきわめて純粋 / 疑似液体層の実験的証拠
復氷・スケート・雪結晶
氷のマジック——復氷 / 復氷の理論 / スケートとスキーはなぜ滑るか / 氷の摩擦係数 /
雪結晶の形
氷は焼物
焼物のメカニズム——焼結 / 氷も焼結する / 南極の氷は焼物 / 南極の氷と焼結の極限
第6章 氷と圧力—いろいろな氷
高圧氷の発見 / 水に浮かない高圧氷 / ゆがんだ氷——氷II・氷III・氷V / 二重構造の氷
——氷VI・氷VII/ 目で見る高圧氷 / 氷VIIIと氷IXの発見 / 極限状態の氷 / 準安定の氷 /
籠の氷——包接氷
第7章 宇宙の氷
太陽系の水の起源 / 月の氷 / 火星の氷 / 火星の雪 / 木星の氷のお月さん / 宇宙の噴
水——彗星 / 土星の輪 / 宇宙雪氷学
文 献
あとがき
新版あとがき
図表出典一覧
索 引
●著者紹介
前野 紀一
1940年 北海道に生まれる
1963年 北海道大学理学部地球物理学科卒業
1965年 北海道大学大学院理学研究科修士課程(地球物理専攻)修了
現 在 北海道大学名誉教授
著訳書 『雪氷の構造と物性』<基礎雪氷学講座Ⅰ>(共編)
『雪崩と吹雪』<基礎雪氷学講座Ⅲ>(共編)
N. H. Fletcher 『氷の化学物理』