商品説明
荒川 泓著
判型: 四六 上製
頁数: 256
ISBN: 978-4-8329-7151-6
Cコード: C1043
発行日: 1991-05-25
●本書の特徴
“4℃で密度が最大になる”という,よく知られた水の特異な性質.湖が表面から凍り,氷山が浮かぶという自然現象は,このことのあらわれである.だが,この物性の本質的解明は,いまだ誰も成功していない. 知ってて知らない水の世界,水の常識に潜む謎を探る.
●目次
I 液体の構造と性質
1 液体とは何か
2 分子はぎっしり詰まっている—状態方程式
3 熱運動する分子—拡散現象
II 水の性質と液体構造
1 水の分子 H2O はどのような特徴をもっているか
2 水分子のあいだにどのような相互作用が働いているか—水素結合
3 水の物性(1)—密度・比熱・熱膨張係数・圧縮率の異常性
4 水の物性(2)—電気的性質の特徴(誘電率)
5 水の液体構造の仕組みをミクロにどうとらえるか(1)—液体構造を表現する動径分布関数
6 水の液体構造の仕組みをミクロにどうとらえるか(2)—水の液体構造の特異性
7 水の液体構造の仕組みをミクロにどうとらえるか(3)—コンピュータ・シミュレーションと理論の立場からみる
III 水溶液—ものを溶かす水
1 混合過程と溶液
2 イオンの水和概念の形成—イオンの働きやすさと部分モル体積
3 イオンの水和の内容—正水和と負水和,ナトリウムイオンとカリウムイオンのちがい
4 イオンの水和の本質とその仕組み
5 アルコール水溶液—疎水性水和とは何か
6 「溶けやすさ」と「溶けにくさ」のバランス—界面活性剤(石鹸)と疎水性相互作用
IV 生体の中の水
1 生命の主役—核酸・タンパク質・水
2 熱・熱運動・エントロピー
3 タンパク質分子は水の中でどのような配置をとっているか—疎水性相互作用の役割
4 生体系の中の水分子の状態
●著者紹介
荒川 泓
元北海道大学応用電気研究所教授.液体物性論・科学史専攻
主要著書:
近代科学技術の成立 (北海道大学図書刊行会,1973)
現代科学の形成と論理 (大月書店,1979)
水・水溶液系の構造と物性 (北海道大学図書刊行会,1989)
日本の技術発展再考 (海鳴社,1991)