商品説明
山下次郎著/神谷正男増補
判型: 四六 上製
頁数: 296
ISBN: 978-4-8329-7062-5
Cコード: C1047
発行日: 1997-12-25
●本書の特徴
礼文島と道東域に限られていたエキノコックス(多包条虫)の汚染地域は, 今や北海道全域に拡大し,感染源として重要な終宿主のうちキタキツネの感染率は平均40%を越えた. 本州への本格的な進出も懸念される現在,汚染地域の実態・研究の進展など,最新情報を増補して紹介する.
●目次
まえがき
I エキノコックスとの闘い
1 エキノコックスはいつ頃から知られたのか
2 北海道の包虫症
1 礼文島の包虫症
2 北海道東部(道東)の包虫症
II エキノコックスとは何か
1 エキノコックスとは
寄生虫の仲間 / 条虫科の条虫の幼虫 / 嚢虫のいろいろなタイプ / キノコックスの名称
2 エキノコックスの構造
ほかの嚢虫とのちがい / 単包虫と多包虫 / 包虫一元説と二元説
3 感染——人から人に感染するものではない
4 寄生部位と宿主特異性
寄生部位 / 宿主特異性
5 成長と増殖
6 病害作用と宿主の対応
肝臓寄生 / 脳寄生 / 眼寄生 / 肺寄生 / 循環器寄生 / 腎臓寄生 / 骨寄生
7 二次包虫症
8 成虫(親虫)
宿主と寄生部位 / 成虫の構造 / 学名と和名
9 成虫の発育と宿主の障害
包虫から成虫へ / 単包条虫 / 成虫の生活 / 宿主の障害
10 原頭節から成虫への人工培養
11 虫卵と原頭節の性質
虫卵の性質 / 原頭節の性質
12 エキノコックス防遏についての考察
個人的予防 / 撲滅対策 / 犬の登録の徹底 / 野犬の掃蕩 / 犬の移出と移入 / 駆虫 /
中間宿主動物対策 / 狐対策
13 人包虫症の診断
14 人包虫症の治療
15 これからの研究目標
III 各国におけるエキノコックスの状況
1 中間宿主動物の感染状況
2 宿主動物の感染状況と人包虫症の流行
3 包虫症予防対策
* 寄生虫分類学の指導——タイで2か月
* エキノコックス研究者との交流——ヨーロッパ、アラスカの旅
増補 広がる感染地域と感染源対策………神谷正男
はじめに
1 世界的な分布
2 日本における分布
3 北海道における分布
北海道への多包条虫の侵入 / 中間宿主の感染状況 / 北海道における終宿主の感染状況
4 感染源対策——キツネとイヌへの対策
観光地でのキツネとのつきあい / イヌの感染率調査と新しい診断技術
おわりに
●著者紹介
山下 次郎
1935年 北海道帝国大学農学部卒業
1955年 北海道大学獣医学部教授(寄生虫病学)
1975年 定年退官(北海道大学名誉教授),農学博士
1992年没
主要著書:家畜寄生虫病学 (文永堂出版)
家畜寄生虫病診断学 (分担執筆,文永堂出版)
食品衛生事典 (分担執筆,医歯薬出版)
新日本動物図鑑 (分担執筆,北隆館)
原色動物大図鑑 (分担執筆,中山書店)
日本における寄生虫学の研究 (分担執筆,目黒寄生虫館) など
神谷 正男
1966年 北海道大学獣医学部卒業
1968年 東京大学大学院農学研究科獣医学専攻修士課程修了
聖マリアンナ医科大学講師,北海道大学獣医学部助教授などを経て
1988年 北海道大学獣医学部教授.医学博士(東京大学)
主要著書:実験動物感染病学』(ソフトサイエンス社)
実験動物学 (分担執筆,朝倉書店)
獣医公衆衛生学 (分担執筆,文永堂出版)
獣医臨床寄生虫学(産業動物編)(分担執筆,文永堂出版) など