商品説明
マルハナバチ ― 愛嬌者の知られざる生態
片山栄助 著
定価:5,500円(本体価格5,000円+税)
判型:B5 上製
頁数:204
ISBN:978-4-8329-8182-9
Cコード:C3045
発行日:2007-09-25
●本書の特徴
まるっこい体の愛嬌者。
子育てはユニークな集団育児。
セイヨウ者には,負けないぞ!
1.本書は2部構成からなっています。
2.第1部は「マルハナバチの生態写真集」ともいうべきもので,平地に多く見られるクロマルハナバチを主に,①巣の構造,②女王バチの産卵行動,③育児行動,④発育にともなう巣室壁の拡張などのユニークな産卵・育児習性について,理解しやすく見ても楽しめる160枚を超えるカラー写真で紹介しました。
3.第2部は「マルハナバチの自然史」ともいうべきもので,営巣習性を中心とした生活史について学術的に解説し,今後の研究に役立つ詳細な情報を提供しています。
4.著者は,故 坂上昭一氏に師事したマルハナバチ生態研究のパイオニアであり,本書は50年に及ぶ研究の集大成です。
●目次
〔第1部 生態写真編〕
第1章 巣の構造を撮る
サツキを訪花中のコマルハナバチのオス
巣口にはいるクロマルハナバチの働きバチ
地下のノネズミの古巣につくられたウスリーマルハナバチの巣
巣の全体構造
第2章 卵室の形,女王の卵室つくり,そして産卵行動を撮る
マルハナバチの卵室
コマルハナバチの卵室
トラマルハナバチの卵室
卵室づくり
産卵
卵室閉じ
第3章 働きバチによる食物の貯蔵と摂食の行動を撮る
巣室への触角挿入
外役バチの蜜吐き
花粉採集バチの花粉落とし
花粉壺のなかの
花粉
花粉食べ
第4章 幼虫室の形と,働きバチの幼虫への給餌行動を撮る
自由に拡大できる幼虫室
コマルハナバチの幼虫室
若い幼虫への給餌行動
幼虫のバーストと幼虫放棄
老齢幼虫への給餌行動
幼虫の摂食行動
第5章 卵室から幼虫室へ,そして繭の完成までの変化を撮る
第49番巣室の発達経過
発育ステージ
幼虫の営繭行動
完成繭からワックスのかき取り
第6章 羽化行動と,成虫間の大きさの違いを撮る
繭抱き
扇風行動
繭内の蛹の色が透けて見える
新成虫の羽化
羽化後の空繭そうじ
成虫の体の大小
繭塊底部のわい小化した繭
第7章 トラマルハナバチの花粉ポケットによる給餌法を撮る
花粉ポケットによる給餌法
トラマルハナバチの若い幼虫室の内部
トラマルハナバチの中齢幼虫室の内部
トラマルハナバチの幼虫室の発達経過
第8章 働きバチの闘争と新女王の誕生を撮る
働きバチの闘争
新女王の生産
新女王とオスバチの誕生
第9章 吸蜜行動を撮る
オドリコソウを訪花しているトラマルハナバチとクロマルハナバチの女王
ツリフネソウを訪花しているトラマルハナバチとクロマルハナバチの働きバチ
第10章 日本産マルハナバチ各種の標本写真
〔第2部 営巣習性の解説編〕
第1章 分類と分布
分類
分布
日本のマルハナバチ相
本書で取り扱った種のリスト
第2章 生活史の概要
女王の越冬習性と越冬後女王の出現時期
女王による単独営巣とその後のコロニーの発展
コロニー発達段階の区分とコロニー存続期間の種間差
第3章 どんなところに巣をつくるのか――営巣場所の特徴
生息環境の種間差
営巣場所選好性の種間差と営巣場所の特徴
第4章 巣の構造
巣の構造とその種間差
植物質の外被とワックス製の内被
巣室の特徴
食物貯蔵容器
第5章 第1巣室における産卵と育児
第1巣室への産卵
第1巣室の形と卵数
第1巣室における幼虫の発育と育児習性
第6章 第2以降の巣室への産卵
第2以降の巣室の形と設置場所
卵の配置と卵数
卵室への花粉詰め込み
女王の産卵行動
女王の産卵数
第7章 幼虫に対する給餌法と育児習性
異なる2つの給餌法
ポケット・メーカーの給餌法と育児習性
ノンポケット・メーカーの給餌法と育児習性
第8章 幼虫の発育
幼虫の発育の一般的な特徴
各ステージの発育期間
幼虫に対する給餌量と発育
発育期の死亡率と育児数の調節
第9章 働きバチのサイズ差と分業
働きバチのサイズ差の種間差およびグループ間差
季節の進行やコロニーの発達にともなう働きバチのサイズ変化
コロニーにおける分業
第10章 働きバチの産卵
働きバチの産卵の特徴
働きバチの卵室づくりと産卵行動
産卵性働きバチの攻撃的行動と順位制
働きバチの卵巣発達と幼若ホルモン(JH)
働きバチの産卵をめぐる女王と働きバチ間の相互関係
第11章 生殖虫の生産
コロニーの発達段階と生殖虫生産のタイミング
幼虫に対する給餌様式と女王幼虫の発育
カストの決定とカスト分化
コロニーの条件と生殖虫生産数
●著者紹介
片山 栄助(カタヤマ エイスケ)
1939年栃木県矢板市に生まれる.
東京教育大学農学部卒業後,栃木県農業試験場,栃木県農業大学校勤務.
坂上昭一氏と共にマルハナバチ生態研究のパイオニアとして知られている.
『ハチとアリの自然史』(北海道大学図書刊行会,2002),『昆虫社会の進化』(博品社,1993)などに分担執筆.
(本書刊行時の情報です)