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阿部周一 編著
サケ学入門−自然史・水産・文化
ISBN978-4-8329-8193-5/2009.12.25/A5判・並製・270頁・定価3150円(本体3000円+税)


●本書の特徴
 本書は6部14章からなる。
 第T部では分類と分布を概説する。第1章ではサケの仲間の分類学の現状を解説するともに,生物学的種概念,学名,分類形質,分岐図,系統仮説などのような系統分類学の基礎事項ついても触れる。
 第U部では資源と環境について概説する。第2章では,サケ類資源の増産をめざした増殖事業について,その歴史と将来展望を概観する。第3章では,サケ類を仲立ちとした持続的な自然生態系からの恩恵について解説する。第4章では,グローバルな気候変動と魚類を中心とした水産資源の変動について解説する。
 第V部では生物学および水産学上の大きな謎の1つであるサケ類の回遊について,その行動・感覚・生理機能の解析から迫る試みを紹介する。第5章では,最新の動物行動学・生殖内分泌学・感覚神経学的な手法を用いて解析した結果について解説する。第6章では,サケ類の回遊と浸透圧調節について解説する。
 第W部ではバイオテクノロジーについて概説する。第7章では,ゲノム研究の現状を整理してバイオテクノロジーの応用の可能性と,各種DNAマーカーの遺伝的資源管理における応用の可能性を展望する。第8章では性決定システムと,種々の性統御の原理と技術の現状について述べる。第9章では卵や精子などの配偶子が形成される仕組みを利用した技術を解説する。
 第X部では食物としてのサケについて概説する。第10章では,魚病と感染症の防疫対策に関する研究の現状を解説する。第11章では,サケ類の成分の有用機能について解説する。 第Y部ではサケ文化を紹介する。第12章では,サクシュコトニ川流域における発掘調査,第13章では,和人主導の開発によりアイヌ民族の社会がどのように変わって行ったかみる。第14章では,サケを仲立ちに札幌市民が成し遂げた意識変革と環境浄化について考える。
 大好評の『ヒグマ学入門』同様に北大が自信を持ってお勧めする話題の本。



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主要目次紹介
 ●目次
まえがき
第T部 サケ類の分類学
第1章 サケの仲間の分類学(矢部 衞)
  サケ類の分類 / サケ類の類縁関係
第U部 サケ類資源と環境
第2章 サケ類増殖事業の歴史と将来展望(永田 光博)
 シロザケ増殖事業の歴史と将来展望 / カラフトマス増殖の現状と課題 / サクラマス増殖の現状と将来
第3章 サケ類は海からの贈りもの―サケ類の生活史戦略と生態系サービス(帰山 雅秀) 生活史戦略 / サケ類による生態系サービス / 長期的な気候変動とサケ類の環境収容力 / これからの私たちとサケ類との関係―生態系ベースの持続的保護に向けて
第4章 地球規模での環境変化と水産資源の変動(桜井 泰憲)
 気候変化と水産資源の変動 / 21世紀の温暖化シナリオに海の生物は適応できる? / ノルウェーでの先進事例 / 水産資源変動の温暖化シナリオは可能か / 温暖化シナリオに対する水産資源の変化の事例 / 温暖化に負けない漁業をめざして
第V部 サケ類回遊の謎
第5章 サケ類の母川回帰メカニズム―行動から遺伝子までのアプローチ(上田 宏)
 サケ類の生活史と回遊 / 動物行動学的解析 / 生殖内分泌学的解析 / 感覚神経生理学解析 / サケ類の生理学的研究の将来展望
第6章 サケ類の回遊と浸透圧調節(伴 真俊・安東 宏徳・浦野 明央)
 魚類の浸透圧調節 / 降海回遊と浸透圧調節 / 産卵回遊と浸透圧調節 / 回遊と浸透圧調節に影響を与える環境要因
第W部 サケ類のバイオテクノロジー
第7章 サケ類のゲノム生物学と資源の遺伝的管理(阿部 周一・佐藤 俊平)
 ゲノムの構造とDNA多型の基礎 / サケ類のゲノム研究からわかること / サケ類におけるDNA多型の利用 / サケ類の資源管理に向けて
第8章 サケ類の性統御(荒井 克俊)
 魚類における性の多様性 / 性染色体と性マーカー / 養殖魚の性統御 / 人為雌性発生二倍体誘起の原理と技術 / 人為雄性発生二倍体誘起の原理と技術 / 雌性・雄性発生二倍体の性比 / 性ホルモン処理による性統御 / 人為交雑と三倍体化による不妊魚の作出 / 性統御技術とサケ類の養殖
第9章 魚の「からだづくり」の解析と借腹生産(山羽 悦郎)
 発生初期の形態形成 / 「からだづくり」の解析 / 生殖細胞の起源 / 生殖系列キメラ / 借腹生産
第X部 サケ類と食生活
第10章 サケ類の健康管理――安全で安心な水産物の提供を目指して(吉水 守・笠井 久会)
 健康種苗育成のための防疫対策の重要性 / 水産物の安全性 / 水産物の品質管理・安全管理 / 漁港における品質管理 / 加工場および輸送・流通における衛星管理 / トレーサビリティの必要性
第11章 サケ類の肉はなぜ赤い――食料から機能素材まで(高橋 是太郎)
 サケ類の肉の色はなぜ赤い / サケ類はバランス栄養食 / サケは疾病予防型食品 / まだまだあるサケ類の利用
第Y部 サケ類と文化
第12章 サクシュコトニ河畔の暮らし(天野哲也)
 集落 / 漁獲技術
第13章 サケ類とアイヌ民族の関わり(天野哲也)
 近世,江戸時代末の状況 / 19世紀 / 明治初期の札幌とアイヌ民族
第14章 豊平川のカムバック・サーモン運動−−市民による環境運動の先駆け(かじ さやか)
 豊平川にサケを帰す意外性 / どのようにサケを発想したのか / 「さっぽろサケの会」発足 / 豊平川さけ連絡協議会の発足 / 第1回放流 / サケが帰ってきた! / 魚道をつくって下さい / その後の「さっぽろサケの会」

引用・参考文献
索引


執筆者紹介
●編者紹介
阿部 周一(あべ しゅういち)
 1947年生まれ
 北海道大学大学院理学研究科博士課程修了
 北海道大学大学院水産科学研究院教授 理学博士

●執筆者紹介(五十音順)
阿部周一:北海道大学大学院水産科学研究院教授 理学博士
天野哲也:北海道大学総合博物館・理学研究院教授
荒井克俊:北海道大学大学院水産学研究院教授 水産学博士
安東宏徳:九州大学大学院農学研究院准教授 理学博士
上田 宏:北海道大学北方圏フィールド科学センター教授 水産学博士・医学博士
浦野明宏:北海道大学名誉教授 理学博士
帰山雅秀:北海道大学大学院水産学研究院教授 水産学博士
笠井久会:北海道大学大学院水産科学研究院助教 博士(水産科学)
かじ さやか:漫画家・切り絵作家
桜井泰憲:北海道大学大学院水産科学研究院教授 水産学博士
佐藤俊平:水産総合研究センターさけますセンター研究員 博士(理学)
高橋是太郎:北海道大学大学院水産科学研究院教授 水産学博士
永田光博:北海道立水産孵化場さけます資源部長 博士(水産科学)
伴 真俊:水産総合研究センターさけますセンター主任研究員 水産学博士
矢部 衞:北海道大学大学院水産科学研究院教授 水産学博士
山羽悦郎:北海道大学北方生物圏フィールド科学センター教授 博士(水産学)
吉水 守:北海道大学大学院水産科学研究院教授 水産学博士


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